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やっぱり「継続はチカラなり」

失敗しない糖尿病治療

糖尿病治療の目的は“糖尿病を治す”のではなく、“糖尿病をコントロールし、健康な人と変わらない暮らし”をすることです。少々手間のかかる糖尿病という病気とどのようにつきあい、健康的に毎日を生活するためにはどうすればよいか。結論から言えば、主治医の言うことをきちんと聞いて実践し、自分の判断で治療をやめないことが全てです。しかし、それが難しい。糖尿病治療には食事療法、運動療法、薬物療法があります。特に食事や運動といった生活習慣を改めるのは言葉で言うほど簡単ではありません。

糖尿病は注射1本打って、寝ていれば治るような病気ではないし、どこかが痛かったり、痒かったりする病気でもないので、治療の効果がいまいち実感できず、ついつい面倒になって生活が乱れたり、治療をやめてしまったり。

ドロップアウトしないためには、私たち患者側の意識と行動を変えていく必要があります。

HbA1c値で血糖のコントロール

改めて、糖尿病治療の目標となる指標とそれぞれの治療法の目的・効果を確認しましょう。治療の指針となるのは「HbA1c」です。この数値は1〜2ヶ月間の平均的な血糖値を反映したもので、糖尿病治療の重要な指標です。目標値は患者さんの年齢やかかってからの期間など個々の状況によって異なるので、お医者さんの指示を受けるのが必要ですが、治療ガイドラインでは合併症を防ぐための目標値として「HbA1c7.0%未満」を設定しています。その他の指標としては体重、血圧、脂質などがあります。

2型糖尿病の治療は食事療法と運動療法を組み合わせ、血糖コントロール目標の改善具合を確認するのが基本。改善されないようなら薬物療法を追加するのが一般的な治療の流れです。ただし、糖尿病と診断された時点ですでに糖尿病が進行していたり、合併症を発症していたりする場合は、この限りではありません。

適切な食事、運動をすることで、体重・血糖・脂質・血圧を改善し、コントロールします。飲み薬にはインスリン分泌を促進するもの、インスリン抵抗性を改善するもの、糖の吸収・排泄を調整するものがあり、患者さんの状態によって処方される薬や組み合わせが異なります。

ピンチはチャンスと考えましょう

食事療法、運動療法と「療法」の文字があるので、何か物々しく感じるかもしれませんが特別なことではなく「食事は腹八分目で、間食は避ける」とか、「なるべく歩く、駅では階段を使う」とか、食事、運動といった生活習慣を改めましょう、ということです。2型糖尿病は中年以降に増えてきます。寄る年波に勝てなくなるのは自然の流れ。若い頃のように飲み食いしたり、寝不足などの無茶をして疲れるからと休日は家でゴロゴロしたり不健康な生活を続けると糖尿病は進む一方です。年齢とともに体は変化するのですから、それにあわせ生活習慣も変えるのが本来の生き方かもしれません。

糖尿病で生活が制限されると考えるよりも、これから健康的に暮らすために生活を見直すチャンスと捉えてみてはどうでしょう。“一病息災”と考えて、積極的に糖尿病ライフを過ごしては?

糖尿病生活に大切なABCDE
A:Alcohol 適度な飲酒
B:Body Body Weight 適切な体重
C:Cigarette Smoking 禁煙
D:Diet バランスの良い食事
E:Exercise 適度な運動

*65歳未満の成人の目標値。妊娠例は除く
参考:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「血糖コントロールの目標は?」