私の糖尿病日記

お話をお伺いした方

香川県 T.Nさん (61歳)男性

優等生とはいえないけど、糖尿病とはうまくつきあっています。


D.ヴォイズ

Tさんが糖尿病になったのはいつですか?

Tさん

今から15年ほど前、46歳の時に糖尿病だと診断されました。当時、甘い飲み物が好きで、夏場にスポーツドリンクを1日2リットル以上、毎日飲んでいました。仕事仲間のひとりに糖尿病を患っているものがいて、その彼が「夏とはいえそれはおかしい。一度医者に診てもらった方がいい」と言うのです。心配になって市内にある病院で診てもらうと、HbA1cの値が10%を超えていました。お医者さんから糖尿病だと言われ、食事と運動の指導と服薬による治療が始まりました。

D.ヴォイズ

それまでに健康診断などで糖尿病は指摘されていなかったのですか?

Tさん

恥ずかしい話ですが、健康診断をきちんと受けていなかったのです。初期の糖尿病は痛いとか気分が悪いとか症状がないですよね。特別に健康に自信があるわけではないのですが、なんとなく大丈夫だろうなと思ってました。今から考えれば、私の母方の家系には何人も糖尿病患者がいたので、もう少し注意しても良かったのかと。

D.ヴォイズ

糖尿病だと診断され、ご自身で毎日の生活で気をつけたことはありますか?

Tさん

なるべく歩くようにしました。最低でも1日に一万歩。そうするとHbA1cが6%台まで下がってきたのです。改善の兆しが見えてきたので、安心して歩かなくなると、また数値が悪くなりました。上がったり下がったりの繰り返し。そんなことをしているうちにだんだん歩かなくなってしまいました。

ネットで調べて、糖質制限にチャレンジ

D.ヴォイズ

検査値の変化についてお医者さんから言われたことは?

Tさん

「合併症になるぞ」と脅かされました(笑)。僕自身も「このままではいけない」と思って、いろいろネットで調べたら糖質制限が良いらしいと知り、実践しました。ご飯やうどん、ラーメンなどの炭水化物、糖質類を一切食べませんでした。すると瞬く間にHbA1cが正常値になったのです。「これで糖尿病にさよならできる!」と確信しましたね。でも良い結果が出るとお祝いだと言い訳してご飯を食べてしまって、元の木阿弥に。

D.ヴォイズ

なかなか続けられませんね。

Tさん

以前とは別の先生なのですが、その方からは「糖質制限もリバウンドする。糖質制限をやったりやめたりを繰り返すと糖尿病の数値が悪くなる」と注意されたのです。実は私の場合、複数の内科医がいる病院に通っていたのですが、仕事の関係で決まったひとりの先生のスケジュールに合わせて予約をすることができなくて、担当の先生を決めることができなかったのです。病院では糖質制限に好意的な先生もいれば、否定的な先生もいて、診てくれる先生によって意見が違ったので、僕もこのまま続けていくのが良いのか悪いのか判断がつきませんでした。結局、糖質制限はやめて、また歩くことにしました。それが6年ほど前です。

D.ヴォイズ

糖質制限をやめて、食事面で気をつけていることは?

Tさん

間食はやめました。ウイスキーが好きなのですが、晩酌は週3回と決めています。昼は外食になってしまうので、カロリーが多めになってしまうのが問題だと思っています。地元の食堂はボリュームが多いので(笑)。家内が低カロリーの食事を作ってくれていた時期もあるのですが、彼女も外で働いているので、あまり無理させることもできないので、今は外食が中心です。

D.ヴォイズ

Tさんのお住いの香川県は「うどん県」としても知られていますが、糖尿病の都道府県ワーストランキングの上位に入ってしまい、県で積極的に糖尿病対策を行なっています。

Tさん

香川県民は朝食にうどんを食べますし、ランチもうどん。コーヒーよりうどんの方が安いので、うどんを食べる機会や量は他の県より多いと思います。糖尿病が多いのはうどんのせいだ、という人もいますけど。私自身で言えば、うどんよりはやはり運動不足でしょうか。できるだけ歩くようにはしているのですが、すぐ近くの場所へ行くにも車に乗ってしまうことがあります。田舎の人は車を使って歩かない、と言われますが、その典型ですね。

写真が趣味のTさん。毎朝、近くの海岸へ行き、
素敵な写真を撮影しています。

自分にあったお医者さんを探して通院する

D.ヴォイズ

通院はどのくらいの割合ですか?

Tさん

病院へは2ヶ月に1回行って血液検査と診察を受けていました。つい最近、病院ではなく、市内の個人クリニックに通うことにしました。先ほども言いましたが、病院では決まった先生がいなかったので、一人の先生にいつも診てもらえるようにしたかったからです。ここの先生はかつて私の父親も通っていたこともあり、いろいろと親身になって対応してくれます。大きな病院とも連携していて何かあればそちらにも紹介してくれるというので、安心感もあります。新しい先生からは毎月通院するように言われています。

D.ヴォイズ

糖尿病と診断されて15年経っていますが、合併症はいかがですか?

Tさん

合併症にはなっていません。足のしびれもありませんし、目にも異常はありません。やはり合併症は怖いです。特に目が見えなくなったり、人工透析になったりするのは避けたいです。ひとつ気になったのは歯周病です。HbA1cの値が高かった時、歯医者さんへ歯周病治療に行ったのですが、HbA1cが高いと治療ができない、と言われてしまいました。HbA1cを下げてから歯周病の治療をしたら、その後はHbA1cがあまり上がらなくなりました。どちらが卵でどちらが鶏かはわかりませんが、糖尿病と歯周病は関係していると聞きました。

D.ヴォイズ

合併症予防のために気をつけていることはありますか?

Tさん

まず、HbA1cを6.5%以下にしたい。これが目標です。糖尿病がしっかり管理できれば自ずと合併症予防になりますから。そのためにはきちんと薬を飲むのは当然のこととして、食事と運動ですかね。私の考えですが、私も含め糖尿病の人はちゃんとした生活習慣を続けることが苦手。私の場合、続くのは長くても3ヶ月なので、それを少しでも長くすることだと思います。朝歩く、甘いものは食べない、糖質は少なくする。太っているのは良くないですよね。あとは目の定期検査。今までは受診していなかったのですが、必要だと聞いたので一度眼科を受診したいと思います。

D.ヴォイズ

最後に、糖尿病を治療していく上で大切だと思うことはなんですか?

Tさん

そうですね。糖質制限をした時に、「これで糖尿病は治った」と思ったんです。でも、お医者さんに「リバウンドする」と言われて、とてもショックでした。その時感じたのは、「ネット情報に踊らされて、一喜一憂するのは良くない」ということです。残念ですが、糖尿病治療は地味だけど確実な方法を取るしかないと思ってます。ゴールへの楽な近道って、やはりないのですね。

D.ヴォイズ

ありがとうございました。

D.VOIZEが感じたこと

節制した食事も定期的な運動もなかなか長く続かないTさん。ご自身もおっしゃっていましたが、糖尿病の方には同じような人が多いのかもしれません。でも、そんなTさんもこの15年間、合併症は発症していません。これは通院だけはきちんと続けてきたからではないかと思います。糖尿病は自覚症状があまりない、言うなれば痛くも痒くもない病気です。忙しさに紛れて、あるいは面倒くさいからとお医者さんの診察を受けずにいると知らず知らずに悪化して、最後には・・・。脅かすわけではないのですが、一度受診したのに治療を中断してしまう、そのまま何もしないとどんどん糖尿病は進行してしまいます。定期的に検査して自分の体の状況を知ることは大切ですね。Tさんのように信頼できるお医者さんを探すのも大事なことかもしれません。

糖尿病治療から絶対ドロップアウトしない。